大橋信選手2分04秒83の世界新!北島康介氏・JO王者と数字で比較してみた
2026-10-02こんにちは。
水泳個人レッスンKN Swim Lab西川です。
2026年9月24日。
アジア大会男子200m平泳ぎで、とんでもない記録が生まれました。
大橋信選手、2分04秒83の世界新記録。
これまでの世界記録は、2023年に覃海洋選手が記録した2分05秒48。
大橋選手はその記録を0.65秒更新し、男子200m平泳ぎで史上初めて2分05秒の壁を突破しました。
しかも大橋選手はまだ17歳です。
今回は「世界新記録、すごい!」で終わるのではなく、なぜ大橋選手は2分04秒83で泳ぐことができたのか?
50mごとのラップ、ストローク数、北島康介氏の世界記録、そしてJO13〜14歳男子200m平泳ぎ王者との比較から考えてみたいと思います。
世界記録の数字を分解していくと、JOを目指すジュニアスイマーにも参考になるポイントがたくさん見えてきます。
大橋信選手の世界記録「2分04秒83」
まずは大橋選手の50mごとのタイムを見てみます。

まず驚くのが、前半100mの59秒89です。
200m平泳ぎでありながら、100mを1分以内で通過しています。
しかし、私がそれ以上に注目したいのは後半です。
50m以降のラップは、31.62 → 32.51 → 32.43となっています。
100〜150mで32.51まで落ちていますが、最後の50mは32.43。
150mまでの50mより、ラスト50mの方が0.08秒速くなっています。
前半100mを59秒89で入って、それでも最後にもう一度ラップを上げている。
日本水泳連盟のレポートでも、150m以降にテンポが落ちるどころか、ラスト50mではテンポを上げていたことが紹介されています。
今回の世界記録を考えるうえで、この「速い前半」と「落ちない後半」は非常に重要なポイントだと思います。
北島康介氏の世界記録と比べてみる
日本の男子平泳ぎといえば、やはり北島康介氏を思い浮かべる方も多いと思います。
2008年6月、北島氏は男子200m平泳ぎで2分07秒51の世界記録を樹立しました。
大橋選手の世界記録と比較してみます。

北島氏の世界記録から18年。
大橋選手は2.68秒速く泳いでいます。
もちろん、競泳は時代によって水着、トレーニング、技術、レース戦略などが変化しています。
そのため、この数字だけを見て単純に選手の能力を比較することはできません。
それでもラップを見ると興味深いことがあります。
50mで0.64秒。
100mで1.38秒。
150mで1.84秒。
そして200mでは2.68秒。
レースが進むにつれて差が広がっています。
つまり今回の世界記録は、前半だけでタイムを稼いだレースではありません。
50mごとのラップでは何が違うのか?
今度は通過タイムではなく、50mごとのラップを比較してみます。

個人的に一番注目したいのは、最後の50mです。
北島氏が33.27
大橋選手が32.43
その差は0.84秒あります。
150mを泳いだあとの最後の50mだけで0.84秒。
大橋選手の世界記録は、「最初から飛ばして、そのまま逃げ切ったレース」
というより、「高いスピードを200m最後まで維持したレース」と考えた方が、この2分04秒83のすごさが分かりやすいと思います。
大橋選手は「ただテンポが速い」のか?
ここでストロークについて考えてみます。
大橋選手は2026年3月の日本選手権で、最初の50mを22ストローク・27秒95で泳いでいます。
一方、今回の世界記録では、最初の50mを18ストローク・28秒27。
※Sportivaの取材記事によると、日本選手権では最初の50mが22ストローク・27秒95。今回の世界記録では18ストローク・28秒27でした。
タイムは0.32秒遅くなっていますが、ストローク数は4回少なくなっています。
ここは非常に面白いところです。
単純に腕を速く回してスピードを出しているわけではありません。
1ストロークでしっかり前に進みながら、必要なテンポを作っている。
平泳ぎでは、テンポを上げれば必ず速くなるわけではありません。テンポだけを上げようとすると、
・水を十分に捉えられない
・キックが小さくなる
・身体の上下動が大きくなる
・抵抗が増える
・後半に急激に疲れる
・抵抗が増える
・動作を省略しがちになる
といったことも起こります。
重要なのは、「ストローク長 × テンポ」です。
1回のストロークで進む距離を確保しながら、必要なテンポを維持する。
大橋選手は、この両方を非常に高いレベルで成立させているように見えます。
ジュニア選手が世界トップ選手の泳ぎを見ると、つい、「もっと腕を速く回そう」と考えてしまいます。
しかし、本当に見てほしいのはそこだけではありません。なぜ、そのテンポでも1回のストロークで前に進めるのか?
ここを見ることが大切です。
前世界記録・覃海洋選手との差は0.65秒
大橋選手以前の世界記録は、中国の覃海洋選手が2023年世界選手権で記録した2分05秒48でした。
今回、大橋選手はそこから0.65秒更新しました。
200mで0.65秒。
数字だけを見ると、小さな差に感じるかもしれません。
しかし、すでに世界最高レベルまでタイムが短縮されている種目で、世界記録をさらに0.65秒更新しています。
さらに大橋選手は今回、100m平泳ぎでも58秒64で金メダルを獲得しています。
大橋選手自身も、テンポを上げすぎてもスピードが大きく上がるわけではなく、現在は200m向きの泳ぎをしているという趣旨の分析をしています。
200mで必要なストロークとテンポのバランスを作りながら、100mを58秒台で泳げるスピードも持っている。
このスピードと持続力の両立が、2分04秒83につながった要因のひとつではないでしょうか。
JO13〜14歳男子200m平泳ぎ王者と比べてみる
では、ここからジュニア選手の数字と比較してみましょう。
2026年夏季ジュニアオリンピック、男子13〜14歳200m平泳ぎ。
優勝した選手の記録は2分15秒94でした。
世界記録とJO王者。
もちろん年齢も身体の成長段階も違うため、優劣を比較するためのものではありません。
ここで見たいのは、速い選手が200mをどのように泳いでいるのかです。

当然ですが、絶対的なスピードには大きな差があります。
200mでは11.11秒差です。
しかし、ここで面白い数字があります。
JO優勝選手の後半ラップを見てください。
35.40 → 34.57最後の50mで0.83秒上げています。
そして大橋選手も、32.51 → 32.43と、最後の50mでラップを上げています。
世界記録保持者とJO王者。
泳いでいるタイムは大きく違いますが、最後の50mまでスピードを維持し、ラストで再びラップを上げているという共通点があります。
私はここが、ジュニア選手にとって非常に参考になるポイントだと思います。
JOを目指すジュニア選手は何を学ぶべきか?
大橋選手の世界記録を見て、
「自分も100mを59秒で入ろう」
「もっとテンポを上げよう」
と考える必要はありません。
むしろ、真似してほしいのは数字を見る習慣です。
自分の200m平泳ぎを、
50m・100m・150m・200m
に分けてみてください。
どこからラップが落ちていますか?
例えば、
32秒 → 35秒 → 38秒 → 40秒
というレースなら、前半の入りが速すぎる可能性があります。
逆に最後まで余裕があり、ラストだけ大きく上げられているなら、前半でもう少しスピードを出せる可能性があります。
さらにレース動画があるなら、50mごとのストローク数も数えてみてください。
後半になってストローク数だけが増えているのにタイムが落ちているなら、「たくさん腕を動かしているのに前へ進んでいない」可能性があります。
逆にストローク数を減らすことばかり意識してタイムが落ちているなら、テンポが不足している可能性もあります。
大切なのは、ストローク数を少なくすることでも、テンポを速くすることでもありません。
自分が最も速く前へ進める、「ストローク長 × テンポ」の組み合わせを見つけること。これが大切です。
「ベストタイム」だけでなく数字を分解してみよう
今回、大橋選手の2分04秒83を数字で分解してみました。
世界記録だけを見ると、「17歳で世界新。すごい。」で終わってしまいます。
しかし、
・50mごとのラップ
・前半と後半の差
・ストローク数
・ストローク長
・テンポ
・ラスト50mの変化
まで見ていくと、「なぜこのタイムが出たのか?」が少しずつ見えてきます。
これは世界記録だけの話ではありません。
JOを目指しているジュニア選手も同じです。
ベストタイムだけを見て一喜一憂するのではなく、
「自分はどこでタイムを失っているのか?」を数字から考えてみてください。
そして、「次にどこを変えれば速くなるのか?」まで考える。
そこに、次のベストタイムへのヒントが隠れています。
KN Swim Labではレース動画の分析も行っています
KN Swim Labでは、実際のレース動画を確認しながら、
・スタート
・浮き上がり
・ストローク
・キック
・ターン
・テンポ
・レース後半の泳ぎ
などを分析する動画チェックも行っています。
料金は1,980円です。
「ベストがなかなか更新できない」
「どこを直せばいいのか分からない」
「レース動画はあるけれど、自分では分析できない」
そんな選手は、一度自分の泳ぎを数字と映像の両方から確認してみてください。
世界記録を分析するのと同じように、
自分のレースにも、必ず改善するためのヒントがあります。
水泳の個人レッスン・パーソナルレッスンについて
KN Swim Labでは、ジュニア選手から水泳初心者・マスターズスイマーまで、一人ひとりの目的や課題に合わせたマンツーマンレッスンを行っています。
フォーム改善、タイム短縮、スタート・ターンなど、現在のお悩みに合わせてレッスン内容をご提案します。
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