こんにちは。
水泳個人レッスンKN Swim Labの西川です。
今回はクロールの中でも1ストロークサイクル(左右の腕を1回ずつ回す)の中でキックを2回だけ蹴る2ビートクロールのお話。
クロールでは距離や目的によって1ストロークサイクルあたりのキックの回数を変えるのですが、中でも最も少ない2ビートクロールについて詳しく解説していきます。
キックの回数は3種類
6ビートクロール
6ビートクロールは1ストロークサイクルの中でキックを6回蹴るクロールを指します。
キックの回転数がものすごく速かったり、キャッチアップ気味のクロールで泳いでいる選手はまれに8ビートの選手もいるのですが、基本的にはこの6ビートクロールが一般的です。
もちろん距離や目的によるのですが、スプリント種目50mや100mではほとんどの選手が6ビートで泳いでいます。
よく、「足の付け根からキックしなさい」なんて話を聞くかと思いますが、6ビートクロールの場合、全てのキックを足の付け根からは蹴っていません。
ちょっと想像してほしいのですが、右手左手が1周してくる間に足の付け根から6回キック蹴れます?
ウォーキング動作で言うと、腕を2回振る間に6歩歩くってイメージね。
無理ですよね。
6ビートにおいて、足の付け根から動いているのは2回だけ。しかも小さな動き。そのほかの4回に関してはほぼ足首しか動いていないんです。
6ビートクロールのメリットとしては、やはりスピードが上がることですね。
デメリットとして疲れること。足を速く動かせば、どんどん心拍数上がりますからね。
4ビートクロール
4ビートクロールは1ストロークサイクル中にキックを4回蹴るクロール。
6ビートより少し蹴り幅も大きくなりますが、スピードは落ちますね。ただ、6ビートに比べると休みがあるので疲労度は低いです。実際に自分で泳ぐときもこの4ビートで泳ぐことが多いのですが、6ビートに比べるとかなり楽ですし、2ビートほどスピーが落ちることもありません。
ウォーミングアップやクールダウンではこの4ビートで泳ぐスイマーが多いかと思います。
メリットとしては楽な割にスピードが落ちすぎないこと。
逆にデメリットはトップスピードまでは上げられないってことですね。
2ビートクロール
2ビートクロールは1ストロークサイクル中にキックを2回だけ蹴るクロール。
キックを蹴るタイミングとしては右手が入水したときに左のキック、左手が入水したときに右のキックという感じになります。ただ、この説明はこっちの方がわかりやすかな?って思い、書いたのですが普段選手に教えるときは右のプッシュのときに右のキック、左のプッシュのときに左のキックと話しています。
このタイミングはバタフライの第2キックと同じタイミングになるわけですが、ここで蹴る意識を持つとプッシュとキックの力が前の手に伝わりやすいんです。
このことにより、前の腕がグーっと伸びてストローク長も増えるってわけですね。
2ビートのメリットとしてはやはり楽だということ。
デメリットはスピードが上がらないことと、意外とピッタリタイミングを合わせるのが難しいってところ。やってみるとわかるのですが、初めての方は2つ以外に足首が自然と動いちゃうことが多いんです。
4ビートになったり、あまり聞かないけど3ビートになったりと。
歩くときは両腕を1回ずつ振るのに対して足も1歩ずつなのに不思議ですよね。
1番楽なのは2ビート
前述しましたが、1番楽なのは2ビートクロールです。
足を6回動かすか、4回か2回かって話だから、当然と言えば当然ですよね。
ただし、これには条件があり2ビートクロールを正しいタイミング、正しいフォームで泳げていることが前提です。身体の動きに任せておくと、4ビートの方が楽という方もけっこう多いです。
こんなときには2ビート
次に2ビートクロールってどんなときに使うの?ってお話。
しっかりしたタイミング、しっかりしたフォームが前提ですが、1番楽なので長距離種目(800mや1500mときには400mでも)に向いていると言えます。同じ理論でオープンウォーター(海でのレース)やトライアスロンのスイムでも使われることが多いです。
ただ、これもひと昔前の話でして、最近の選手はトレーニングに進化から800mでも1500mでも最初から4ビート、6ビートを多用する選手が増えました。
このことによって記録も伸びているのは間違えありません。
ゆっくり長く泳ぎたい。スピードではなく。
なんて方には本当にオススメです。
そんな理論から、ウォーミングアップやクールダウンは2ビートって人も多いですよ。
2ビートでフォーミング
自分はこの2ビートクロールこそ、身体を正しく使う基本動作だと考えていて、多くの選手にやってもらっています。
人間、1番自然な動作ってウォーキング動作かな?と思っているのですが、この2ビートクロールはウォーキング動作に1番近いかと思ってまして。
そこで自由形と背泳ぎが専門の選手には特に多くやらせているのですが、2人ほど自分が考える理想の2ビートをマスターしました。
2ビートを極めた結果
上の続きで、2ビートクロールを完全にマスターした選手はストローク長が長くなる傾向があります。ストローク長っていうのはひとかきで進む距離のこと。
これはキックのタイミングが正しいだけではなく、プッシュとキック、そこに骨盤の動きが同調されさらに前にある腕が後ろのプッシュとキックで押し出されて行くような動きになることが重要です。
で、これを完全にマスターした2人の選手は自由形でジュニアオリンピック金メダルを獲得しました。
もう1人自由形で金メダルを獲得した選手がいるのですが、こちらはこの方法ではなく、ある程度の力押しで。この辺りは完全なスプリンターだと判断したためで、ブレてるとかじゃないんですね。
もちろん、この選手にも2ビートクロールの基礎と理論はしっかり理解させて練習してきましたけどね。
まとめ
ってわけで、2ビートクロールは、しっかりと基礎ができれば1番楽なクロールってこと。それからウォーキングに近い動作なので身体にも優しいってお話でした。
使い分けるコツとしては、ゆっくり長く泳ぎたいときは2ビートや4ビート。
スピードを上げて全力で泳ぐときは6ビートってかんじですね。