【水泳個人レッスン】5歳の年中さんが背泳ぎ25mを完泳できた理由

こんばんは。
水泳個人レッスンKN Swim Lab西川です。

今日は5歳のお子様と背泳ぎのお話。

先日見させていただいた年中さんはクロール12.5m、背泳ぎ5m泳げるという状況で個人レッスンを実施させていただきました。

そこでの気づきと確信を書かせていただきます。

対象年齢・泳力

まず個人レッスンのお話。
対象年齢は4歳からとさせていただいています。
泳力は関係ありません。

去年あたりまでは、自分は選手しか見ていない。小さいお子様や成人の初心者の方は見ていないと言ったイメージが勝手についていたようです。

これ、ホントどこからかついたイメージで、ぜんぜんそんなことないんですよ。
なんてことを去年から書き続けていたところ、最近は幼児のお子様やこれから選手になりたいという低学年のお子様が激増してきました。

なんと今年に入り、新規のお問い合わせは16件。
3月には遠く北海道からわざわざ来ていただく予約もいただきました。

今、来てくれているお子様で一番下の子が5歳。
上は70代の女性が2名と幅広い層の方が来てくださっています。

5歳児の背泳ぎレッスン

年始に2日連続で行った個人レッスン。
先ほども書きましたが、開始前の泳力はクロール12.5m、背泳ぎ5mという状況。
お母様からは背泳ぎの下半身が下がってしまうということをお聞きしていました。

「じゃあ、とりあえず5mでいいから背泳ぎ泳いでみよっか?」
で、見てみると、下半身を下げたくない一心からお腹を上に持ち上げていたんです。

気持ちはすごくわかります!
お腹を上に上げれば浮いてきそうなイメージありますもんね。

まずはこの姿勢を直すこと。

次にキック動作。
このキック動作も浮きたい、足を沈めたくないって気持ちから細かく速くというキック。
膝から下だけというより足首だけが跳ねているような感じになっていました。

さらにストローク動作をチェック。
このブログでも何回か書いていますが、背泳ぎで耳と肩をつけようとしていると身体が上手く動かなくなるんです。この辺りはYouTubeで詳しく話していますのでぜひ参考にしてください。

ただ、このお子様はそれがなかった。
無理に耳と肩をつけようとしている感じはなし。よし、これならイケる!

改善する点

なぜ姿勢の矯正から?

これもしつこく言っている点ですが、泳ぎを習得していく上で大事なのが
1.体幹の安定
2.キック動作
3.ストローク動作
4.呼吸動作

この順番。
これはクロールに限った話ではなく、背泳ぎでも一緒です。

この理論からまずは体幹の安定を。5歳で体幹の安定?って思いましたね。
カッコつけた表現で体幹って書いただけで、まずは正しい姿勢にしてあげることです。

このお子様は前述したとおり、お腹を持ち上げてしまい、腰が反った状態。
人間の体ってどこかが浮けば、どこかが沈むんですね。

一生懸命、腰を反らせてお腹を持ち上げれば、沈むのは頭と足先。
この状態になると、顔に水がかかりやすいのは想像できますよね。さらに呼吸方法を間違えると鼻に水が入る。「背泳ぎ嫌い!」ってお子様のほとんどが「鼻に水が入るから」って説明してくれます。

さらに下半身の沈み。
バタ足蹴ってるから沈まないんじゃないの?と思われがちなのですが、腰が反った状態だと足の付け根部分(股関節)が上手く動かないんです。この状態で歩くことをイメージしてください。

突っ張っちゃって上手く歩けませんよね。
バタ足もまったく同じ。

だからまず正しい姿勢を覚えてもらうことが大事ってわけです。

姿勢の矯正方法

それでは次はどうやってこの反り腰を直していくかってお話です。

まずはビート板をお腹のところで抱えてもらい、背浮状態を作ります。
このとき大事なのがビート板とお腹をくっつけないこと。
この練習で「ビート板とお腹をくっつけて〜」なんてやっちゃうと、この反り腰が誕生しちゃう。
なので、ビート板とお腹の間にコーチが拳ひとつ入れてあげて少しだけお腹を凹まし、お尻が落ちた状態を作ってあげる。

もうひとつ注意しておきたいのが、ビート板を強く掴んだり、強く抱えたりしていないかという点。
ビート板を強く掴んだり抱えたりすると全身に力が入りやすいので注意ですよ。

その場で浮かせるのは難しいので軽く引っ張ってあげて12.5mを数本。
身についてきたかな〜ってところで次のドリルに移ります。

キック動作

姿勢の矯正が終わったら次はキック動作です。
下半身が沈む原因はキックにもあるのですが、前述した姿勢の改善である程度直ることが多いですね。
ただ、推進力がなければやはり筋肉量が多い下半身から沈んで行くのはイメージできるかと思います。

そこで重要なのが、ダウンビート!

そう、足の裏で下に蹴る動作です。
一般的なスイミングスクールの練習なんかだと、上に元気よく蹴る練習が多いかと思います。
これでも推進力はある程度着くのですが下方向に蹴り込む力がつくと下半身が安定しやすくなるんですね。

これは日本の背泳ぎ界を長年引っ張ってきた入江陵介選手の水中映像を見てもらうと分かりやすいかと思います。

どうです?
完全に足の裏でも下方向に蹴っているのがわかりますよね。

ただ、ひとつ注意です。
足の裏で水面を叩くのはNGですね。足の裏で水面を叩くということはほとんどの時間、足先が水面上にあるということ。これは逆効果で腰のあたりから沈んで行きますよ。

ストローク動作

体幹の安定、キック動作が身についたらストローク動作。
ここで危険なのが「耳と肩をくっつけて〜」指導。
何回も書いていますが、身体が自由に動かなくなりますからね。

詳しくはこちらの記事を参考に。

で、このお子様は無理に耳と肩をくっつけようとしていなかったんです。

肩は耳より少し後ろ(深い位置)に来なきゃいけなくて、それをやるには左右の重心移動が必要。
重心移動のドリルを2種類ほど取り入れたところで理想に近いストローク動作が完成しました。

呼吸動作

背泳ぎはいつでも呼吸できる!なんて話もあるのですが、適切なタイミングっていうのはやっぱりあるんです。
ただ、小さなお子様でしたら、そこまで意識するのは難しいので、呼吸のことは説明しませんでした。

背泳ぎ25m完泳

以上の練習を行ったことで背泳ぎ25mを完泳することができました。
ただ25mを完泳したのではなく、全身を連動させ、スムーズな動きで完泳。もちろんこれは、このお子様の能力が高かったことが大きいのですが、どうしてこのお子様が正しい動作を身につけられたかを自分自身振り返ることもすごく大事なことだと思っています。

完泳するまでの時間

背泳ぎ5mから25m完泳までにかかった時間は60分。
これが他の先生に比べて早かったのか遅かったのかはわかりませんが、遅くはないと思います。

もう一度書きますが、まずはお子様が水を怖がっていないということが大きかった。
それと身体が固まっていなかった。性格も明るく自由な感じ。この辺も上手く作用した結果です。

60分続けて背泳ぎを行ったわけではなく、2日連続で30分クロール、30分背泳ぎと言った感じでした。

ちなみにこの2日間でクロールも12.5mから25mまで距離を伸ばすことができました。
もちろん、こちらも正しいフォームでね。

選手と幼児でも共通点がある

ここ重要なんです。
自分の水泳指導歴は成人初心者⇨幼児・学童スクール⇨選手育成⇨選手といった感じでここまでやってきました。
成人初心者だけを見させていただいていたときは、成人の方向けのレッスンを心がけ、そのカテゴリーの勉強ばかりしていました。

幼児や一般学童の指導でも同じ。

これが選手育成のお子様を見させていただいたあたりから、変わっていったんです。
幼児や初心者の方からヒントを得て選手に役立たせるっていうパターンはほとんどなかったのですが、選手から幼児や初心者の方へのヒントっていうのはものすごく多いんです。

さらに個人レッスンで見させていただいている選手たちがジュニアオリンピックやインターハイで優勝していくと、どんどんそれらが自信に変わっていきました。

なので幼児専門でやっていた時代と今では教え方が全く違う感じ。
さらにパーソナルということでしっかり補助もできて、コミュニケーションも取れる。この環境さえあれば、トップ選手がやっているドリル(練習方法)もどんどん経験させることができるんです。

これをやり始めてからはどの年代のレッスンもアップの時点で「こことここだから〜。これとこれだな(ドリル)」って感じつぶやいてます。

レッスン中はいろんなことを考えているのですが、やっぱ、選手も幼児も泳ぎを覚える優先順位っていうのは一緒だよな〜って感じてます。

まとめ

はい、今回は幼児のお子様が60分で正しい体の使い方で背泳ぎ25mを完泳しましたよってお話でした。

完泳するにあたって大事なことはやはり泳ぎを覚える優先順位であり。
ウィークポイントにどんなドリルをどんな言葉で説明していくのかが大事だなと感じました。

今回も長々とすみません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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